第284章

島宮奈々未は、玄関に立っているのが半月以上も姿を消していた丹羽光世だなんて、しばらく信じられなかった。

  丹羽光世が帝都に着いたのは夜明け前だ。塀を越えて入り、木下家の人間には一切気づかれずに来た。

  ただ、どうしても島宮奈々未に会いたかった。ドアノブに手をかけた、その瞬間――内側から扉が開く。

  丹羽光世は深い眼差しのまま、薄い唇をわずかに吊り上げた。

「奈々、帰ったぞ!」

  その言葉が落ちるより早く、島宮奈々未は弾かれたように彼の胸へ飛び込み、腰に腕を回した。

「やっと……やっと戻ったのね。知ってる? 毎日ずっと、気が気じゃなかった。あなたに何かあったらって……戻って...

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